ニラベルトの生活史

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『本当の「頭のよさ」ってなんだろう』を読んだ

 

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斎藤孝

 

面白かった。小学生、中学生を対象に「頭のよさ」について8つの切り口から見ていく本。

大人の私が読んでも「これは大事だな」と思うところがたくさん。文字が大きく200ページ強なので一気に読めました。

気になるところとしては、内容はポジティブめ。人生において逃げ道は必要だと論じつつ、「コミュニケーション能力は必要。ないと社会では行きづらい」 「大学には行くべき」「生を授かったなら自ら死を選んではダメ。懸命に生きるべき。」と強めのメッセージがちらほら。これ、精神的に弱っている人にとってはさらに追い討ちをかけることにならないかなと思った。私はダメージを受けた。それでも「頭よく生きることは、人生を豊かにする。幸せにする」と本著で論じてあるように、深く真剣に生きていくことに一歩踏み出す価値はあるのかもしれない。それには勇気が必要だろう。

 

箇条書きで印象に残った文+備忘録

・昔、南アフリカの狩猟時代は「自己価値」について意識することはなかったという。人それぞれの役割があって、みんな平等に狩猟のリターンが与得えられていたから。今はそれぞれの能力を比べる時代。だから「自己価値」を意識せざる終えなくなって、自己肯定しづらいと「うつ」を発症する。つまり昔は生きているだけで良かった。さらに「うつ」は現代病なのだ。本来は生きているだけで大丈夫。しかし無意識に「自己価値」を感じ辛い社会になっている。勉強をし、教養を身につけることができたら人生は豊かになるのでは。

 

・「没頭する」ということ。小さい頃は何事にも没頭できていた。脳の発達的に学習能力が高いのと、知らないことを知る喜びに脳が刺激を受けていたからだ。しかし大人になるにつれて

「没頭する」ことがいつの間にかなくなっていく人がいる。私も含めて。それは何かを取り組むにあたって成功体験がないことが原因だという。何かに取り組んで「わかった!」「繋がった!」 と成功体験を得られれば、脳刺激を受け新しいシナプスを形成し、また新しい知的好奇心が生まれる。成功の回路が出来上がる。その体験を得るためには「潜っていく情熱」が必要だ。成功体験を得られるまで地道に続けていく。そしたら点と点が線になり、ゆくゆくは網目上になりシナプス様のネットワークとなる。おそらく人生は豊かになる。「没頭する」快感を知ることができる。人間本来持っている知的好奇心が満たされるから。著者は「没頭する能力は眠っているだけ。誰でも持っている。」という。私は「自分にはそんな能力はない」「時間がない」など思ってきたけど、きっと言い訳に過ぎなくて「続ける勇気」がないだけだ。何かを続けたことはほぼ1度もないから、やってみる価値はある。「人生を豊かにしたい」という欲望があるならやってみるしかない。

何が言いたいかというと、「何かに没頭することを思い出して味わいたい」「人生を豊かにしたい」ということ。

 

・読書について

いろんな人の読書論が私は好きだ。読書欲を掻き立てられる。ここでは「読書は著者との対話」「読むだけではなくて、なんでこの人物はこういうことを考えているのか。じぶんだったらどうするか、と考える。」「本があれば孤独ではない」「似たような考え方の著者だったら、ほかの本も読んでみる。合わなかったら飛ばしても、やめてもよし。」「読書することで語彙力と文章読解力が向上する」「速読を意識することで頭の回転が速くなる。慣れてくると読むスピードがあがる。」「読書を体験にしていく」「読書をおもしろくさせるには、世界にグッと入り込む。」

 

・「人生を豊かにすること」 をロールプレイングゲームみたいにとらえたら面白いのではないか。

 

・「好きなこと」は広がっていく。その学習がやがて教養となる。色んな視点を持つことによって客観性を得ることができる。

 

・他人の好きを否定しない。知ろうとすることが重要。

 

・社会を生きていく上で人とのコミュニケーションは避けられない。わかる。私的にはかなり辛辣だけどわかる。本当にコミュニケーションができないと生きづらい。払拭するには諦めるか、そのタスクに立ち向かわないといけない。人間関係にこそストレスと喜びがある。「雑談力」 が必要だ。ただ「相手にとって良いこと」を話す。それでまた次の関係に繋がる。あいさつだけでもいい。不機嫌を伝播させないこと。

ただ自分を攻撃する人からは距離をとってもいい。なにごとも「非常口」を用意しておくことが大事だ。好きなことを話せる、友人と呼べる人は少数でいい。

しかし本当に雑談力、マジでなんとかしたい。こんな歳になって仕事のコミュニケーションから逃げている場合ではない。そこは覚悟が必要だ。

 

個人的な話。最近、自分の人生を適当に扱い過ぎじゃないのかと。何かを待っている場合ではないんじゃないかと思いはじめていた。きっかけは我が家のYoutubeだった。岩井が「ヘラヘラしてるんじゃない。何とかしたいっていう覚悟を感じられない。」という我が家への提言にブッ刺されてしまった。ヘラヘラしている杉山、他人のせいにして問題に直視しない坪倉、何も喋らない谷田部に自分が重なった。決意したからって劇的に人生が変わるわけじゃないけど、自分の人生を生きる責任を見つめなおして、覚悟を持つことが必要だと思った。少しづつでいいから進んでいきたい。人生を豊かにしたい。