ニラベルトの生活史

生活のアーカイブ

「ベイビードライバー」を観た

幼い頃に交通事故に遭い、両親を失い聴覚障害を患った青年主人公。常にイヤホンをつけて音楽を聴いていれば耳鳴りは聞こえない。そんな主人公は借金を返済し裏社会から足を洗おうと、天才的なドライブテクニックで犯罪者の「逃し屋」の仕事をこなす中、ある女性と運命的な出会いをする。裏社会からの逃避行を試みるが…。

 

最高でした。音楽、映像のかっこ良さ、ストーリーの展開、テンポ…レベル高すぎる。中盤から平和だなぁ…からの怒涛の展開。手の平ビシャビシャでした。そうだよね、借金返済して彼女のために地道にピザ屋でバイト…なんて話で終わるわけないよね。

 

主人公は彼女と出会ってから、会うたび家でおじさんに踊って嬉しそうにそのことを伝えるは可愛い。おじさんも嬉しそうで可愛い。なんだこの2人、可愛い。

 

幸せ絶頂のレストランデートで男がお会計をしようとしたとき、「お会計はもう終わってますが…」の恐怖。ベタだけどヤクザからのこっそり奢りは震えました。あと小さい白スーツカラーグラスちょび髭ボスおじさんも怖い。

 

赤ジャケ黒人。いやーかなり苦手だ。めちゃくちゃ武闘派で頭がキレるんだろうけど、俺同じ職場だったらいじめられる可能性高い。相手が嫌がることをわかってるし自己中心的すぎる。まぁヤク中に何を真面目に言ってるんだって話だが。ダイナーでのイチャイチャチンピラカップルとの喧嘩、一方的すぎて見てられなかった。

 

まさかのイチャチンピラ男がラスボスになるとは。好きな展開。死の淵から蘇り、殺意剥き出しで車に乗って再登場するシーン。

この男の人物像に興味がある。職場のミーティング中でも彼女とイチャコラチュッチュするチンピラは最初、無口でずっと音楽を聴いている主人公に対し良くはない印象を抱いていたはず。中盤では主人公に「俺もクイーン聴いてたよ!」と一つのイヤホンで音楽を聴くまでには歩み寄っていた。さらに主人公が夜に組織から車で抜け出そうとしたのがバレた時には「そうか嫌になったらやめればいい。逃げるんだ。」と言っていたような。赤ジャケ黒人に会話の録音がばれた途端(悪意はなく目的は趣味のサンプリングミュージック作成だったけど)、「お前裏切ったな」と掌返して主人公を責め立てる。赤ジャケ黒人に捲し立てられた時には言い返せずに彼女が代わりに反撃する始末。さらに彼女が死んだのは主人公のせいだと逆恨み。そこから考えられる人物像は直情的で即物的。確固たる自分を持てずに他者に依存していて受動的。いつ暴走するかわからない危うい要素を孕んでいた人物だった。あまり見たことない悪役。

主人公、チンピラとお互いが後半は「確固たる意志」を持つ。前半は「守るため」 、後者は「復讐するため」。

 

ボスが最後、自分の身を呈してまで主人公を助けた理由がわからなかった。死ぬのは確実と腹を括っていたのもあるが、義理+主人公の覚悟に心を動かされたのか。でもこういう展開は好きだ。ショットガンの使い方もいい。

 

場面的に気持ちよくないから曲の最初にいちいち戻すの、めちゃくちゃわかって笑った。

 

ダイナーってなんかいいよね。

 

カーアクションものほぼ見ないけど面白いのな。マジでCGじゃないのこれ…地下駐車場でのカーチェイスはどうやってるの。

 

ラストシーンは綺麗だった。主人公が優しくて良かった。